七人の弔

wowowで『七人の弔』を鑑賞。
ダンカン監督・主演・脚本の社会派ブラックコメディ。
あるキャンプに参加した7家族。そのキャンプの目的は日頃から子供に虐待を加えている親たちが、子供の臓器を売って大金を手にすることだった。何も知らずにはしゃぐ子供たち、お金に目がくらんだ親たち。普段とは違う親たちの様子を感じ取った子供たちは、このキャンプがどこかおかしいと気付き始める。
臓器売買・幼児虐待と社会の暗闇をテーマにしながらも、ダンカン独特のセンスで加えられたコメディによってどこかポップな作品に仕上がっている。
登場するキャラクタがとても豊か。子供のことに無関心な親から、キャンプに連れてくると決心したものの迷っている親。そして親のことを嫌っている子供もいれば、キャンプの目的を聞かされてなお親を愛している子供。それでも最後の晩餐で親が下した決断は冷酷だったし、子供たちが下した決断もまた残酷だった。
虐待する親のリアリティは理解できないが、子供たちの残酷さにはリアリティを感じる。子供だから下せる決断。
唯一の例外となったアノ親は、待っている家族の設定上そうするしかないよな。
明度に差がある場面で露出を固定したままチルト・パンや、暗いシーンで白とびを多用したりするのが気になる。それと俳優・ダンカンは魅力的なんだけど、出突っ張りの主役には不向きかも。『純愛譜』のときくらいがちょうどいい。
♪いいな、いいな、人間っていいな〜♪をラストシーンに使ったのは秀逸。

七人の弔(とむらい) [DVD]

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