レタス・フライ(#483)

森博嗣レタス・フライ』を読了。
この短編集で読んでおきたいのは、『ラジオの似合う夜』と『刀之津診療所の怪』の2編。
『ラジオの似合う夜』では名前は出ないものの犀川林さんが主人公。その他にも紅子さんや祖父江さんと思われる2人も出てきて、懐かしい。林さんって行く先々に女性がいて好感度低い。かっこいいんだけど。
『刀之津診療所の怪』では、西之園萌絵、叔母さん、海月、加部谷、山吹が山吹の実家のある白刀島で診療所にまつわる不思議な話の真相に迫る。このメンバーを見る限りGシリーズっぽいんだけど、Vシリーズからこれまた懐かしい人たちが登場。彼らのその後もなんとなく感じられて、これまで森博嗣作品を読んできた読者には嬉しい作品。
S&M、V、G、四季シリーズを通して広がる森博嗣の作ってきた世界のスケールの大きさを改めて感じる。これだけ多くの伏線を、第1作からシリーズを超えて破綻なく張り巡らされている緻密さは信じられない。いつになったら全容が解明することやら。
著者のウェブサイトで数年後の小説家引退もほのめかしているので、全てが明らかになるのと同時に引退となるんだろうか。それまで、森博嗣も自分も健康だといいな。

レタス・フライ (講談社ノベルス)

レタス・フライ (講談社ノベルス)