サイモン・バーチ(#417)
wowowで『サイモン・バーチ』を鑑賞。
原作はジョン・アーヴィングの『オウエンのために祈りを』。この本は近いうちに読もうと思っていたので先に映画を観ることにした。
最後までオーエンが誰なのか疑問だったけど、原作のオウエン=映画版のサイモンということらしく原作をそのまま映画化したわけではないらしい。
全体の雰囲気は難病+友情ということで『マイ・フレンド〜』に近いけれど、ストーリーや構成でジョン・アーヴィングらしい緻密かつ巧みな出来。
サイモンの打った奇跡的なファールボールが親友ジョーの母親の頭に当たり死んでしまう。その大事件をきっかけに、今までのささやかながらも幸せだった日々が崩れ始める。ジョーは母親がついに話してくれなかった父親を探し始め、サイモンはより信仰心を強くし自分が何のために生きているのかを求めるようになる。
ついにサイモンは神様から与えられた自分の役割を果たし、ジョーは父親を見つける。
サイモンは生まれながら体が小さいままの難病でいつ絶えるとも分からない命。それゆえサイモンの両親は彼の存在を無視して生活していた。難病を自分ひとりで背負ったサイモンはどうして自分は生まれてきたのか、どうして自分は難病なのかという不条理さを信仰に託したのだろう。そして、自分が難病で生まれてきたのにはなにか神様の計画があるはず、自分の使命があるはずだと純粋に神にすがっている。
しかし教会にいるのはサイモンが信じている信仰とはほど遠い俗人な司祭だった。
友情の尊さ、難病への不条理感、教会への批判、信仰心の奨励、サイモンは神が遣わせた本物の天使というファンタジー、この映画をどう観るか本当に人それぞれ。
この作品を監督したのはマーク・スティーヴン・ジョンソン、『デアデビル』と同じ監督とは思えない作風。
神々しいまでに魅力的なジョーの母親役はアシュレイ・ジャッド、彼女はレーサーのダリオ・フランチェッティの奥さん。
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オウエンのために祈りを〈上〉 (ジョン・アーヴィング・コレクション)
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