アンチ・ハウス(#415)

アンチ・ハウス』を読了。
作家森博嗣が自宅にガレージを作る過程の記録。
内容は森博嗣と設計を依頼した阿竹克人とのメールを中心にして、施主の立場から設計、施工、行政とのやりとりをドキュメンタリ風に書かれている。
家というのは極めて個人的なスペースで、段差がないとか収納が多いなどの他者からの(一般的・平均的)評価は意味がないという意見には大賛成。ただ、万が一手放すときに不利という意見も理解できるけどそういう人は賃貸でいいじゃないですか。
ほとんどの人はこんなに強気にはいけないんだろうなと思いながら読んでいく。そもそも建築の専門知識や、適正価格がよく分からない上にやりとりを積み重ねるうちに妥協に次ぐ妥協という結果になってくる。
折角大枚叩いて自分の理想を形したかったのに結果ががっかりという人が何人いるだろうか。しかも普通の人は一生に一回の買い物。
この本は今流行の小洒落た建築やリフォームとは全く違うベクトル。自分が家を建てる時の参考にしようとか建築の勉強をしようというのには向いていない。あくまで森博嗣という人間が変わった目的のガレージを作る過程を追体験(ダイジェスト版)し森博嗣という人間を垣間見ることが出来る本。
楽しく読めた。

アンチ・ハウス

アンチ・ハウス