はなうた(#344)

はなうた日和』を読む。
『凸凹デイズ』『笑う招き猫』とこれまでヒット続きの山本幸久作品。単行本で残るはこれだけと読んでみたらガッカリ。
今まで読んだ2作と異なり今作は短編集。しかし、内容は短編集というよりただ長編の出だしですっぱり切ったようなデキ。余韻を残そうとしているのかもしれないけど短編としての完成度がないから結局何も残らない。オムニバス的にきれいに短編どうしが絡み合っていくのかと思いながら読み進めていったが結局何もなく途中でギブアップ。
このテイストというか、これくらいゆるい作品だと少しずつでも話やキャラクタをリンクして読ませる以外の魅力はない。特に著者の作風自体が目新しいものでなく、軽い読み応えと心地よい着地が良さだと感じてるので、今回のような短編ではその魅力もほとんど感じられない。
しかし相変わらす評価できる部分は女性の表現。ただ、こう女性目線の作品ばかりなのでもしかしたら著者は女性なのかもしれない。その場合、この作家に感じていた他の作家にない魅力というものも消えてただの女性作家にという評価になるのかもしれない(もちろん作品の面白さは消えないが)。これからは山本幸久は長編だけを読むことにしようと決心した一作。

はなうた日和

はなうた日和