『グラスホッパー』

グラスホッパー

グラスホッパー

惜しくも直木賞を逃した『重力ピエロ』に続く今作。この『グラスホッパー』も今回の直木賞の候補作。この本を借りたときはまだ候補作発表してなくて、候補になったのを知ってから読み出した。読み終わる頃には落選が決定。うん、この作品では直木賞は獲れないでしょう。でも、伊坂幸太郎が近いうちに獲るのはほぼ間違いないでしょう。
まず、この本の装丁はいいと思う。目を引くし凝ってて、手にとってしまう。中のデザインもよく、章によって描かれる視点が変わるこの作品。チャプターに、その章の視点を示すハンコを用いているところもいいアイデア
登場人物の殺し屋たちがみんなキャラが立ってて、アニメやマンガを見てるよう。著者の作品は映像的なので特にそう感じた。
内容は妻を殺された学校の先生が、その復讐のため非合法組織に潜入するってな話。伏線がしっかり張られてて、最後のほうで伏線が生きてくるのが気持ちいい。でも、意外な伏線ではなくてやっぱりそうか程度。登場する殺し屋は、目の前の相手を自殺させる自殺屋、相手を車道に突き飛ばして殺す押し屋などバラエティに富んでいる。だれも魅力的で特に蝉がすき。
読んでて思ったのは本当にエンターテインメント作家だなということ。映像的な文章とキャラクターの豊かさ。最新作の『アヒルと鴨のコインロッカー』も今回の「このミス」の第2位に選ばれるなどのりまくってるってる著者の作品はもっと読みたい。