博士の愛した数式 小川洋子

森博嗣が大好きで、理系の文学作品には無性に心惹かれる僕なので、その流れで購入しました。内容は８０分しか記憶が続かない博士とそこにやってきた家政婦とその息子ルートのお話です。博士は昔注目された数論の学者時代の記憶と現在から過去８０分の記憶しか留めておけないので、その家政婦さんがやってくるたびに同じ質問をする。数学の苦手だった家政婦さんも博士のしてくる数学の（それ以外の）問題を考えるうちに、家政婦という仕事の枠を超えて、博士という人格や数学の面白さに魅了されていく。また息子のルートと阪神タイガースの応援をラジオの前でしていると、博士は決まってルートに「今日は江夏は投げるのか?」と聞く。ルートは「ローテーションから行くともう少し先かな。」と答える。しかし、打席には新庄。ハートフルなお話で、面白かった。ただ、数式や数論の話では理系の人が読むのには少し物足りない感じも。もちろん芯となる話のスパイスなのでそれで問題ないのだけれど。文系の人や、数学が苦手な（苦手だった）人にはオススメです。これで、数学をロマンチックに捉える手助けになるかもしれません。