東京画

wowowで『東京画』を鑑賞。
ヴィム・ヴェンダース監督が小津安二郎作品の中に見た東京を持ちながら、現代(当時)の東京に小津を探すドキュメンタリ。
インタヴューの中の笠智衆や当時の撮影監督の話は小津監督を知る貴重な映像であることは確か。監督の小津に対する敬愛の念は画面から見て取れる。
ただこの映画が作品としてどうか、となると成功しているとはいえない。この作品のコンセプトは監督自身が小津安二郎が好で東京に来たのだから、小津を求める監督こそが主人公なのに、監督はただの語り手であって小津を追う第三者のドキュメンタリを撮影する監督であるかのような印象。
偏った東京であると感じる人もいるだろうけれど、この作品が日本人に向けて作られているわけではないということを考えれば、納得できる範囲。外国人が「日本人って変わってるなぁ」といかにも喜びそうな映像・風景の羅列を見ていると、この映画は単なる日本見聞録的なのではと思えてくるのも事実。
本当に小津安二郎に迫りたいのだったら、『オランダの光』くらいしっかりやって欲しい。

東京画 デジタルニューマスター版 [DVD]

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