判決前夜(#478)

wowowで『判決前夜／ビフォア・アンド・アフター』を鑑賞。
アメリカの片田舎。芸術家の父親、医者の母親、息子、娘の理想的な家庭。ある日母親が働く病院に1人の少女が運び込まれる。頭を殴打され、すでに死亡してたが顔を確認すると息子の同級生だった。帰宅した母親はそのことを話そうと息子を呼ぶが、家にはいない。そこへこの町の警察官がやってきて、殺された少女と息子が車の中に一緒にいたところを見たという目撃者がいることを伝える。何をしてでも息子を守るという父親と、真実を明らかにして息子に偽証までさせたくない母親。ごく普通の家族に突然降りかかった事件をめぐって、リアルな家族愛を描いたドラマ。
家族の苦悩する様子が細密に描かれていて、真に迫ってくる。冷静に見れば許されなかったり、反発を招く行為でも、自分だったら絶対しないとは言い切れない。
特に共感するのは母親の葛藤。息子が殺したという住人の誤解を解くために真実を話したい、息子には偽証までさせたくない、しかし自分が正しい（息子のためにも）と思うことは息子を何十年と牢屋に入れることになるかもしれない。
この静かな作品を観客までを巻き込んで悩ませてしまう秀作にした功労者は、間違いなくメリル･ストリープ、リーアム・ニーソンらキャストの実力。メリル・ストリープの演技の幅には驚かされるばかり。
目を引いたのはベテランに囲まれながらも、存在感が光った妹役のジュリア・ウェルドン。ただ、彼女はこれ以降映画出演がないのが残念。

判決前夜 / ビフォア・アンド・アフター [DVD]