砲艦サンパブロ

NHK-BSで『砲艦サンパブロ』を鑑賞。
ロバート・ワイズ作品。
1926年の第2次大戦勃発前の中国に駐留しているアメリカ軍。機関兵のホルマンポンコツ砲艦サンパブロに赴任してくる。サンパブロは特にすることもなく乗組員たちも暇をもてあましていた。しかし中国国内で統一の機運とともに、反米感情がしだいに高まり砲艦サンパブロはアメリカ人救出のため危険な上流へ船を進める。
1966年製作ということも考えると、この作品はベトナム戦争に対する矛盾や疑問が見えてくる。世界の警察を買って出ようとすることへの反発など、アメリカのやっていることは今でも変わらない。プライドばかり気にしているトップも。
1920年代の中国というあまりなじみのない設定。当時の生活や政治状況も勉強になる。良くも悪くも中国人というのがよく描かれていると思う。イギリス軍との小競り合いで実際の数の10倍の死者が出たと発表するあたり、大戦中の南京と同じ。
主演のスティーヴ・マックィーンのかっこよさは必見。
全体で3時間を越える戦争ものの大作ということで敬遠しがちだけど、案外見やすくて戦闘シーンも少なくむしろドラマや恋愛のシーンが中心。
結末は意外。戦争映画でアメリカ製作といったら爽快な気分だろうが、悲痛な気分だろうがラストは勝利・・・なんだけど最後は悲しい敗北。戦争のリアルな悲壮感や虚無感を訴える印象的な終わり方。最近のハリウッドの(戦争の悲惨さを装った)アメリカ軍のプロパガンダ映画とは全く違う。
公開当時、アメリカ国内でどんな評価だったのか知りたい作品。

砲艦サンパブロ [DVD]

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