τ(#406)

森博嗣の『τになるまで待って』を読了。
うーん、久しぶりの小説。そして久しぶりの森博嗣。これを読むにあたって再読した『Φは壊れたね』を除いて。
酷評しているサイトも多く見たので覚悟していたんだけど、楽しんで読めた。森作品の中で傑作とはいえないけれど自分にとっては不満を感じるほどの作品ではなかった。ただ、S&M、V、四季シリーズを未読の読者にとっては、この作品はかなり不親切だという意見も分からなくはない。
森作品をほとんど読んでいる(雑誌掲載も含めて)読者の1人としても、シリーズものを読んでいると大きな絵の小さなピースをはめていく作業をさせられているように感じることも多々ある。S&M、V、四季とどのシリーズもつながったひとつの話で、それらシリーズごとに中心となる人物や時期が違うだけなので新鮮味を感じなくなっているのも事実。
シリーズ作品を読むたびに、天才という異物をうまく使った作者自身が作り上げた箱庭(鉄道模型)と感じる。
ただ、ぶつぶつ文句言いながらも結局読み続けるんだろうな。

τになるまで待って (講談社ノベルス)

τになるまで待って (講談社ノベルス)