ラジオ(#378)

wowowで『僕はラジオ』を鑑賞。
こういう青春スポーツモノってベタなんだけど大好き。『ドラムライン』や『タイタンズを忘れない』など名作がある中、この『僕はラジオ』もすばらしいデキ。しかもノンフィクション。
高校アメフトの名門校、選手もコーチも優秀な今年のチームは町中の期待を背負っている。ある日コーチが見ていないときに部員たちが近所の知的障害を持つ黒人青年に暴力を振るってしまう。それを見つけたコーチは、口もまともに利けない青年“ラジオ”を練習に誘いチームの手伝いをさせることにした。“ラジオ”のことをよく思わない者もいる中、その年は期待はずれの結果に終わりその原因を青年に求める支持者も出てきた。
周りの反対意見を聞き入れず強引に“ラジオ”をチームに参加させ続けるコーチ。同じ学校の生徒でアメフトしか目に入らない父親に不満を抱くコーチの娘。知的障害者の息子を持ち女手ひとつで“ラジオ”を育てている母親。責任者として“ラジオ”が校内に入ることが心配な校長。錯綜する思惑と偏見。
最初は『タイタンズを忘れない』のような人種差別的な背景がメインなのかと思いきや、チームの中にも黒人がいるし校長自体も黒人。ただ、全く差別がないわけではなく白人の中には差別意識を持った人も普通に存在する当時のアメリカの実情。むしろ主題は何が大事なのかということ。知的障害者など助けを必要としている人たちに対して無関心であってはならない、不安に感じる事象を遠ざけ目に見えないところまで追いやることは何の解決にもならない。こういったテーマは一見説教くさく感じるんだけど実話をもとにしている今作ではストレートに受け取ることができる。
エド・ハリスデブラ・ウィンガーと名優が並ぶ中でもやはり“ラジオ”を演じたキューバ・グッディング Jr. の演技は際立っていた。さすがアカデミー賞俳優といったところ。