浜さんの本

浜村通信 ゲーム業界を読み解く』を読了。ファミ通に連載された浜村元編集長のコラムを単行本化したもの。
PS2発売くらいの時期から書かれたもので話題はゲーム中古問題やゲーム脳など今読んでも楽しめる。特にこの時期にゲーム脳を提唱した教授(日本大学 森昭雄氏)に直接インタビューをしてその研究の未完成なところや、インチキなところを指摘していてその内容についても同意できる内容。さらにこのインタビューの中でその教授も研究の不備を認めている。簡単にまとめると、ゲーム脳と名づけたがゲームをしている特有の問題ではなく、テレビでもなんでも集中して長時間単純な(研究ではテトリス)をやり続けた場合にβ波が出なくなる。そしてこの教授はゲームのことについて詳しいとは言いがたい。
何でゲーム脳という言葉が気になったというと、今日のサンデーモーニング内で女性コメンテーター(氏名不明 大宅さんじゃないほう)が子供が殺される事件にインターネットやゲームに原因があると発言したのを見たから。正直今でもそんなこと言う人がいること自体に驚きを覚えたんだけど、こんなどこかで聞きかじったことを無責任に発言してお金もらってるなんていい商売だね。どうしてもこういう安易な発言をする頭の悪いコメンテーターを見ると悲しくなる。
もし、インターネットやゲームが犯罪の原因だとしたら、今のほとんどの子供は犯罪者予備軍だということになる。ゲームをやったことない人間のほうが今や稀で、確率からいえば小学校で流行のゲームについていけないことを理由にいじめられるほうがむしろ怖いと思うんだけど。ゲームを否定している人は一昔前のテレビを見すぎるととか、音楽なんかやってるとなんて言われてたことをどう思ってるんだろう。それに今やゲームは日本を支えるソフト産業の一角。ゲームの暴力性にばかり囚われているけれど実際はそんなゲームばかりではないし、現在小説、TVドラマ、映画どれを見渡しても人の死ぬものがあふれていて、その中には殺人を扱うものも多い。
それに加えて、この人はインターネットにも言及している。確かにインターネットはどんなサイトにもアクセスでき、どんな情報も手に入れられるかもしれない。しかし、インターネットにおいて情報を制限するということはそもそものインターネットの長所を否定することにもつながる。インターネットを否定した先にどんな理想郷を描いているのか教えて欲しいものだ。できれば実現可能なもので。
そもそも、このコメンテーターの中年女性が子供だった時代と比べても犯罪自体は減っているし、これらを問題とした根拠(この人個人が公共の放送上で発言に足る根拠)も不明。こういう発言を見ると無責任っぷりは細木数子級。一生懸命ゲーム作ってるクリエーターたちを思うと何でこういう発言が軽はずみにできるのか理解できない。
しかし、このところ続いている殺人は見つかってる犯人はみんな大人でしょ。そんなところにまで責任を押し付けられるなんて・・・・。ゲーム業界も養鶏業界みたいにしっかり抗議をしていったほうがいいと思うよ。

浜村通信 ゲーム業界を読み解く

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