es(#040)

映画『es』をDVDで観た。
ドイツ映画で、精神実験をする話。新薬のバイトみたいなので勧誘して集まってきた数人の男性を看守役、囚人役に分けて2週間すごさせるという実験。大学の教授が主催したこの実験が思わぬ方向へ。見ず知らずの人間たちが、環境からくる精神状態の変化が原因となって、実験中に殺しあう。
よくできたサスペンス。ただ、途中間延びするところがあったり、逆に終盤はあっさりしすぎてて、個人的にはもっと細かく描いてほしかったかなぁと。実験の場面から、シーンの途中でこの実験に来る前に知り合った女性との一夜のシーンの挿入が何度かあるが、どう見ても効果的とは思えない。シーンの意味がない。
見せ方という点においては、パッケージの印象からスタイリッシュなテイストかと思いきや、アウシュビッツを描くときのような重々しさが画面からのぞく。
人間のもつ潜在的な恐ろしさ、環境からくる思考の変化、それに伴う行動。特に看守側が著しく狂気と化していく。こういった題材を用いるのならば暗く、リアル(言うほどリアルではない)さを持ってくるのではなく、スタイリッシュな映像の流れの中で、各個人の心情の変化やその時どういった行動に出るのか、特に中盤の間延びしていると感じさせるところで見せて欲しかった。
終わり方では、いろいろ議論もあるし、今までの星の数ほど存在するであろうこういった危機脱出後の、ハッピーエンドなりバッドエンドなりの描き方。そこだけを取ればいまや、やりつくされた感はあるのだが、この特異な環境から脱出した彼らの変化や、日常に触れることを期待する人は多いと思うがどうなのだろう。
と、いろいろ書いたが酷評するほど悪い作品ではないとおもうが、タイトルの知名度から(もちろんこのジャンルで)みると、それ程でもない。が僕の結論。

es[エス] [DVD]

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