コルベール(#721)

お台場で開催中のノマディック美術館グレゴリー・コルベールAshes and Snow』展へ。
コルベールが15年以上かけて撮影した映像・写真を中心の展示内容。もうひとつの目玉としては板茂が設計?したノマディック美術館そのもの。この美術館はコンテナを積み上げる移動式で、現地でコンテナをレンタルして建設し、終了とともに返却するというとてもエコロジーなコンセプト。
この展覧会はニューヨークでやってたときはニュースとかで気になってたんだけど、東京に来てたのはつい最近職場で知って驚いた。
正直なところこの展示内容と入場料にはやっぱり不満が残る。映像3点と、写真が約20点。15年かかったというのも・・・。“しかるべきところでカメラを構えていればいずれその時は来る”とか言ってるけど、像やオランウータンなんかは調教すればすぐ・・ねえ。それに待っていると言っても意図がないわけではなくて、こういう映像が撮りたいというのがあって、その準備を万端にして待つという意味であって、あれが自然ではないということ。もちろん、意図があることは悪いことでもなんでもないし、むしろそれが作品という意味で重要なところ。
ただ、あの作品で訴えたいのかなと思うところではCGを使ってないことがどんな意味を持っているんだろうと疑問が残る。映像作品も見ていてすごく惜しい。特にメインの映像作品は最初から最後まで通してみても、一貫したコンセプトがよく見えない。この作品にだけは手紙形式の小説(詩)がナレーションとして入っているんだけど、それがなんとも安っぽい。それと作品に何もキャプションをつけないことで観る人と作品との無限の交流を促すと言っているんだけど、何も言わずに伝わってくるような作品という感じもしなかった。何も言わなくても伝わってくる、そんな作品でないのに説明をしないというのはただずるいだけ。
映像作品という意味ではビル・ヴィオラのほうが断然よかった。
それと映像作品3本見せるということを考えると、あの隙間風が入ってくる寒いところでじっとしているのはつらすぎる。構造上しょうがないんだけど、それでも寒かった。
入場料1900円は高すぎ。常設美術館じゃないからコスト的にかかるのは分かるんだけど、ロレックスが全部買い上げた分を取り返そうとしてるのかな。そもそもアメリカでは入場料いくらだったのかな。
いくら美術館のコンセプトがエコだといってもこれだけ美術館がある現在において、既存の施設を使うのと移動式の美術館を作るのがどっちが環境にやさしいんだろうと考えるとまた矛盾が・・・。
nomadic museum official site
http://www.ashesandsnow.com