父親たちの星条旗(#635)

丸の内ピカデリーで『父親たちの星条旗』を鑑賞。
今日はファーストデイと言うことで1000円。そういえば東京で映画館へ行ったのは恵比寿ガーデンシネマの『マッチ・ポイント』以来。
丸の内ピカデリーは本当に大きな映画館で800席以上。並んでチケット売り場で勧められるままに2階席の最前列へ。うーん、いい眺め。
クリント・イーストウッド硫黄島二部作の第一弾。太平洋戦争の最大激戦区・硫黄島での戦いを、アメリカ側、日本側それぞれの視点から描くというコンセプトにひかれて観にいったんだけど、硫黄島での戦闘だったりナショナリズムを煽るようなストーリではなくて、一枚の写真の裏側を中心に人間ドラマとして描いているのはいかにもイーストウッドらしい。太平洋戦争でもっとも有名な写真である擂鉢山にアメリカ兵が国旗を掲げるシーン。そこに写った兵士たちが英雄として本国へ送られ、戦時国債の購入キャンペーンに借り出される。しかしその写真は諸事情で国旗を掲げなおしたときの写真だった。自分自身の思いと、英雄として持ち上げられている状況のギャップに悩みながらも、国債を集めることが仲間たちのためになるとアメリカ中をキャンペーンで回ることに。
原作は作中にも登場するジョン・ブラッドリーの息子ジェイムズ・ブラッドリーの『硫黄島星条旗』。第一弾が良かっただけに第二段は心配。どれだけ日本人の役者たちがイーストウッドの要求にこたえられているのか。基本的に日本人の役者はレベル低いからなぁ。
戦争を描くのに中立という描き方はありえない。どちらかヒーローだったり、何かしらの結論を出してしまいがち。こうやって両側から片方ずつ見せるというのが一番正しい描き方なのかもしれない。ただ、この手法が出来る監督が他にどれくらいいるか。能力的にも、金銭的にも。イーストウッドだからこそできた映画と言える。