彼女を見ればわかること(#488)

NHK-BSで『彼女を見ればわかること』を鑑賞。
サンダンス・NHK国際映像作家賞受賞作品。
ロサンゼルス郊外に住む女性たちの日常を描いた5編からなるオムニバスドラマ。一見すると幸せそうな女性たちでも、満たされていなかったり悩んでいたり、外から見るほどいいものではない。大なり小なり誰もが悩みを抱えている。そんな女性たちの日常を繊細なタッチで描いている。
初監督・初脚本とは思えないクオリティ。キャスティングの段階で出演したいという女優が殺到したというエピソードも納得。グレン・クローズホリー・ハンター、キャシー・ベイカー、キャリスタ・フロックハートキャメロン・ディアス、エイミー・ブレネマン、ヴァレリア・ゴリノと新人監督の作品では考えられない女優陣(新人監督じゃなくてもこんなキャスティングは難しい)。ただ、内容が地味なせいもあって本国アメリカでは劇場公開はされなかった模様。こういう作品に客が入らないのはいかにもアメリカらしい。
オムニバスになっている5編は当然リンクするんだけど、リンクの仕方もかなりいい。銀行員の部下が少し出すぎている印象もあるけれど、作品全体のまとまりを考えるとちょうどいいのかも。ボゥと観ていなければ人物相関は分かりやすく作られている。
繊細なのはセリフやキャラクタの描き方だけでなく、その映像からも見て取れる。光の使い方や、カメラアングル、画面全体から監督の意思が読み取れる。
ラストで彼女たちが次の一歩を見つけ、踏み出そうとするシーンとキャメロン・ディアスのセリフ。彼女たちの出発を応援したくなると同時に、自分もちょっと勇気が湧く、そんな映画。
このテイストの映画は一番好きな部類。
ロドリゴ・ガルシア監督の最新作『美しい人』はかなり期待。

彼女を見ればわかること [DVD]

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