肉体の冠(#433)

NHK-BSで『肉体の冠』を鑑賞。
シモーヌ・シニョレの代表作。
フランスにかつて実在した伝説的娼婦マリーを元に描いている。娼婦のマリーと大工マンダの恋愛映画。男たちがマリーのためならと命も危険にさらすというほどの妖艶さは観客にも伝わってくる。最初マリーは娼婦として現れるけど、だんだんとマリーの純粋さが見えてくる。衝撃的で悲しい結末だがそのあとのラストシーンで観客にわずかな救いがもたらされる。
久々にフランス映画らしいフランス映画を観た。19世紀末のパリの風景と、後悔のない人生を生ききった男たちが美しい。映像的にもかなり洗練されている印象。1シーン、1カットから監督のこだわりやセンスが見えてくる。
邦題の『肉体の冠』はよく分からないタイトルだと思ったけど、原題が『黄金の兜』ということなのでどっちもどっちか。
ジャック・ベッケル監督作品。

肉体の冠 [DVD]

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