阿弥陀堂(#370)

阿弥陀堂だより』を鑑賞。
公開当時、評判がよかったので観たかったのに観れなかった作品。もっと暗かったり重い雰囲気なのかと思ってたけど全く違った。
こういう淡々としたリズムの映画は邦画の得意なところ。小栗監督の『埋もれ木』でも感じた日本の田舎や山間部特有の美しさ、時間の流れ方が心惹かれる。
長野の山奥、過疎化の進んだ無医村の村に、子供のころ住んでいた男が医者の奥さんと一緒に帰ってくる。東京でエリート医師だった奥さんが、心の病気の療養をするための帰郷だった。週の半分を診療所で過ごし村民たちと触れ合っていく。ガンで余命幾ばくも無いと承知しながら心を乱さないかつての恩師、質素にひたむきに暮らすおうめさん、のどを患って声が出せない女の子。
樋口可南子演じる奥さんの心が自然や村の人たちと触れ合うことで癒されていくと同時に、観ている人たちの心もフッと力が抜けて、生きるということはこういうことなのかなと思いをめぐらす。すばらしい映画。
それにしても、出演しているおばあちゃんたちはプロなのかアマチュアなのか分からないけれど自然体かつ存在感抜群。あんなに魅力的なおばあちゃんたちをどうやって見つけてきたのか気になる。

阿弥陀堂だより 特別版 [DVD]

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