読了(#261)

となり町戦争』読了。
今年の読書では国内もので一番の作品。こんな作家知らなかったなんてと思い調べてみるとなんと新人。著者の名前と、文体のギャップで違和感を感じていたのも男性だと分かって納得。新人の作品でこんな本書ける人がいたなんて。大注目。
主人公は、普通のサラリーマン。定期的に届く自治体の広報誌「広報まいさか」に突如表れたとなり町との戦争開戦のお知らせ。けれども、その開戦日になっても町に変化は見られない。やがて、主人公の所に町からの「戦時特別偵察業務従事者」任命の通知が届き戦争の実感も、理由も分からないままに戦争に巻き込まれていく。そして半年後、予定通りに戦争は終わりを向かえ主人公は失いたくないという実感だけを持っていた。
戦争をテーマにしているのだけれど、戦闘シーンなどはなく日常と変わりない世界。この作品には、実際に起こっている戦争や、システマチックに遂行される戦争に対する批判なんかも含まれているんだろうけど、そんなことよりエンターテインメント作品として完成されている。早く次回作を読んでみたい。本作は第一七回小説すばる新人賞受賞作品。

となり町戦争

となり町戦争