性犯罪者の処遇(#157)

最近話題でしょ。久々にちょっとまじめな話題と意見。
性犯罪者は再犯性が高いから出所した犯罪者の情報を警察が持つシステム。意外にも反対が少ないことに驚いています。賛成の主な理由は自分の家族や知人が安全に暮らしたいからという理由でしょう。その感情は理解できます。しかしここで疑問を持たない人が不思議でならないです。もちろん性犯罪者に限らず犯罪者の味方をするつもりはありません。正常な社会を望むからです。
『本当にこのシステムが正しいのか?』
もう一度冷静に考えて欲しい。このシステムでは警察が情報を管理し絶対に公開できないとしている。そんな非現実的なことを本気で信じているのですか?想像したらすぐに分かるでしょ。もしあなたが警察官で、家族がいるとしたら。近所に性犯罪を犯した者が引っ越してきた。そしたら家族には「あそこの家には近づかないほうがいい。犯罪者が住んでいるから。」そういってしまう。悪意はなくとも、むしろそれが家族に対する愛であっても。それを聞いた家族は黙って近づかないようにしているでしょうか。そんなことはありません。自分の大切な友達を思ってその危険を知らすはずです。もしかしたら、会話の隙間を埋めるだけのための世間話の一つとして話すかもしれません。
これを想像してもまだこのシステムが理想的に運用できると心から信じている人はどれくらいいるのでしょうか。
結局社会復帰は不可能になってしまいます。
つまり、このシステムに賛成するということは犯罪を犯したものは2度と社会生活に復帰させるなといっているのと同じです。犯罪を犯した人だからペナルティを受けるのは当然という人もいるでしょう。しかし、服役を終えた人に対してさらにペナルティを一生持ち続けろというのでしょうか?日本では服役自体がペナルティなのではないですか?また、そうやって社会復帰をさせないことこそが再犯の危険性を高めるのではないでしょうか?むしろどうやって社会復帰を手助けするかのほうが有効な解決法だと思います。
できもしないと分かっていながら理想だけで通す卑怯さ。できないと分かっていてもそれでも賛成の人がいるのならば、その人たちは正直に、はっきり言うべきです。「犯罪を犯したやつと一緒にいたくない。服役したからといって信用できない。犯罪者に人権は要らない」。そう言いたいのに公に言えないだけ。とても卑怯。建て前だけの耳ざわりのいいことのみを言って多くの人を欺いているのです。
改心した人、正常な精神の人ほど服役したあと元の家や地域には戻れないと思います。犯罪者の家族が急に居場所がなくなり引っ越したり。自分のところには来て欲しくない、自分たちは安全でいたい。オウムの反対運動ほど公でないにしろそれに似たものが個人に、それも服役して社会復帰を目指している個人へ浴びせられることへの違和感を持ちます。
奈良の事件以来、不安が広がったのも分かります。しかし冷静でなければいけません。何でもかんでも管理されて自由を失うほうがよっぽど怖いことです。

このシステムはアメリカにもあります。アメリカでは出所した犯罪者の住所や居場所が公開され、本人の足にGPS発信機(24時間はずせない)がつけられ、腕にICチップ(1年ごとに入れなおす)を埋められ完全に監視されています。どこへ行くにもGPSの受信機は持ち歩かなければなりません。
普通の日本人にはこれが理想の社会にはとても思えないでしょう。
元犯罪者には人権は要らないのでしょうか?もちろん改心しない犯罪者もいるでしょう。しかし、改心したかどうか測るすべはありません。もう一度犯罪を犯したときにだけ分かります。人を疑い続けるか、人を信じ続けるか。この2つしかないのです。