the human stain

今更ながら『白いカラス』観ました。
もう公開からずいぶんたっているので観た人も沢山いるでしょう。
正直な感想を。実は最初見たときはよく理解できなかった。僕の理解力が無いのが主な原因なのは分かってるけど、やっぱり日本人の僕には人種による差別が根底に流れる話を本当の意味で理解はできないんだと思う。そういう意味では、今でも分かってないのだろう。でも、2回目をみたとき、自分なりに理解し素直にすばらしい映画だと思った。
ニコール・キッドマンアンソニー・ホプキンスをはじめとする有名どころの役者が揃い、脚本、監督と申し分ない。
アメリカの内包する問題が複雑に絡んだストーリー。
アンソニー・ホプキンス演じる老人コールマンの抱える人種の問題。彼は黒人の家庭に生まれたが肌が生まれつき白かった。それにより、自分をユダヤ人と偽り生きた。かつての恋人から人種を理由に別れを告げられたことでその後の自分の結婚相手にも親や家族はいないと嘘をつき、その嘘を自分の親にも告白する。二コール・キッドマン演じる30代女性の抱えるドメスティックバイオレンスPTSD、幼児期の性的虐待の問題。裕福な家庭に生まれた彼女も両親が彼女が幼い時に離婚し、再婚した母の夫から性的虐待を受ける。彼女の前の夫はベトナム戦争に行ったことで精神的に病み妻に暴力を振う。妻は2人の子供も火事で亡くしその亡骸を今も大事に持っている。
70代位のコールマン、30代くらいのフォーニア。この2人が惹かれあうのは傷を癒し合うことができるからなのかもしれない。それぞれの世代の抱えるそれぞれの問題。年が離れていても、抱える傷は違っていても、お互い傷を抱え、苦悩している。重いテーマが重なり合い、さらに悲劇が待ち受ける。
最初にも書いたが、これらの問題を本質的に正しく理解することは日本人にはできないのかもしれない。けれど、何かしらの傷を持つ人間は他の傷を持っている人に惹かれる、その本質的な普遍的なことにはシンクロできる。相手の傷を認めることが、理解すること。そして、同時に自分の傷をどれだけ見せることができるか。それこそが信頼であり愛なのかもしれないな。なんて思ったり。
アメリカ人がどういった思いでこの映画を見ているのか、知りたい。

白いカラス Dual Edition [DVD]

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